海よりも深くて波よりも透明
ていうか、夏葉の元カノのこととか全然知らない。



あたしと雰囲気違うんだ…。



知りたいような、知りたくないような…。



夏葉の元カノ、全員抹殺したい。



あたしはどうやら嫉妬深いらしい。



「で、お前は何しに来たんだよ」

「ああそうそう。今日この辺で合コンあって1人来れなくなったから夏葉誘おうと思ったんだけど彼女いるならいいわ」

「ただ邪魔しに来ただけじゃねえか…」

「悪いね」



夏葉はイライラした顔。



あたし達、今からって時に邪魔されたからね。



話を聞くと、郁はどうやら一年浪人して今大学四年生らしく。



この辺にキャンパスがある大学に通ってるらしい。



私立上位の良いとこ。



「穂風ちゃんは大学は?」

「指定校推薦で西陸大学行く予定~。受験勉強する時間ないので」

「えっ、西陸って私立トップの!? すげえな…」



受験勉強しない代わりに学校の定期試験頑張ってきたもん。



いつだって誇れるあたしでいたい。



「それより、高校のときの夏葉どんなだったか教えてよ」



あたしがやや身を乗り出し気味に郁に聞いた。



あたしの知らない若いときの夏葉ってどんなだったんだろ。



夏葉は普段自分の話をしないから未知だ。



「あー、夏葉とは1年ときから同じクラスだけど昔から女子からも男子からも人気だったな~」

「そんな感じするね」

「バスケ部入ってたけど球技大会のときめちゃくちゃ女子からチヤホヤされてたよな~」

「へー…」

「体育祭のときは後輩の女子からもモテまくって夏葉と写真撮るために後夜祭のとき軽く列とか出来てたな」

「…」



なんか女子の話ばっかり…。



あたしの知らない夏葉と一緒に写真に映った女がわんさかいるってこと!?



むぅ~…。
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