海よりも深くて波よりも透明
「どうぞー」



穂風が部屋に入ってきた。



デカめのTシャツを着てる穂風はラフな姿。



思わず手を伸ばして腕を引き、ベッドにストンと座らせた。



俺は布団から起き上がる。



今すぐ押し倒してえ…。



まあそんなことするはずもなく、腕の中に穂風をおさめた。



穂風が嬉しそうに俺に体重を預けてくる。



「夏葉があたしの家の布団で寝てるの、変な感じ」

「俺だってなんでこんな状況になってんのか不思議だわ」



穂風が俺の方を振り向いて、にこっと笑った。



それから顔を上げて俺にキスする。



そのままベッドから立ち上がり、「おやすみ!」と部屋を出て行った。



まじハマる…。



そのまま眠りにつき、気づいたら朝だった。



リビングに下りると、龍臣さんがキッチンで何か作ってて、そよ子さんもいる。



そのタイミングで穂風も来た。



そよ子さんが俺らに気づく。



「おはよ」

「おはようございます」

「夏葉コーヒー飲む?」

「あ、いただきます」



穂風に引っ張られるようにしてソファに座る。



穂風がテレビをつけ、俺の肩にもたれかかった。



テレビでは天気予報をやってる。



「あさってあたり、千葉の方波良さそうだね」

「だな。穂風振り替えで休みだよな? 行くか」

「行く~!」



そんな話をしつつ、ふとキッチンの方に視線をやると、龍臣さんが野菜を切ってる。



野菜切ってるだけなのになんでこんなかっこいいんだ…。



そよ子さんが龍臣さんの隣に立つと、龍臣さんが「ん」という感じでそよ子さんの口にトマトを入れた。



仲良いな…。



絵になる2人だ。



しばらくして、俺たちの目の前に豪華な朝ご飯が並んだ。
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