海よりも深くて波よりも透明
~穂風~

自己最高得点を取って優勝。



世界で一番の称号。



世界大会でチャンピオンは何回も取ったことがある。



だけどやっぱり、何回取っても嬉しいもの。



それに自己最高得点だしね~。



今までの自分の中で一番技術力が上がったってことだもん。



嬉しいな…。



大会が終わって、夏葉と一緒にホテルに帰ろうとした。



今日は夏葉と過ごすんだ。



誕生日だしね!



美味しい物も食べたいし。



そう思ってたのに、カイに引き留められた。



「Congratulations, Mikaze(優勝おめでとう)」

「Thank you,Kai(ありがと!)」

「(話があるんだけどちょっといいかな? できれば2人で話したいんだけど)」



話?



でも、今日は夏葉の誕生日だからちょっとな…。



「(うーん、今日は嫌だな…)」

「(じゃ、5分だけ!)」



まあ5分ならいいかな?



隣に立つ夏葉を見上げた。



夏葉が、あたしの髪を軽く撫でた。



「しょうがねえな。変なことされんなよ?」

「されないよ!」

「どうだかな~。とりあえず俺は穂風の部屋で待ってるわ」

「わかった!」



夏葉にルームキーを渡した。



軽く手を振って別れる。



カイの話ってなんだろ…。



夏葉がいなくなったのを見てから、カイがあたしの正面に向き合った。



「(改めて、優勝おめでとう)」

「(ありがと! カイもおめでとう)」



カイは3位の銅メダルだった。



怪我でブランクがあるにしては好成績で、やっぱりすごいと思う。
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