海よりも深くて波よりも透明
「まじであいつ許さねえ…」

「あたしも許してないよ…」

「明日会ったらやっぱり殴る」

「好きにして…。でもなんか…あたしのこと好きなんだって」

「やっぱりな」



さらっとそう言う夏葉。



知ってたの!?



「知ってたなら教えてよ…」

「穂風全くそういう風に思ってなさそうだったから、大会前だし動揺させたくなくて黙ってたんだよ」



そうだったんだ…。



そこまで気を回してくれてたんだね…。



「大好き…」

「だろうな」

「でも、カイの気持ち気づいてたのに、なんでさっき2人きりを許したの?」

「あいつがケリつけるんだろうなって分かったから。俺的にはけじめつけてさっぱり穂風のこと諦めて欲しかったからな。内心2人にすんの嫌だったけど」



夏葉って、本当にあたしのこと好きなんだね。



こんなに愛されてて、あたしは幸せだ。



夏葉がもう一度あたしを求めるように強くキスをした。



あたしもそれに応える。



なんかもう、おいしいもの食べに行くとかどうでもよくなっちゃったな。



今日はこのまま、ずっと夏葉といたい。



「夏葉」

「ん?」

「誕生日プレゼントはあたしだよってことにして?」

「ははっ、何だそれ、最高だな」



夏葉が笑ってあたしに顔を近づけた。



「じゃ、遠慮なく」



そう言ってゆっくりソファに押し倒される。



大きいソファは横になっても十分に広い。



「んっ…」



あたしから漏れる声がなんだか恥ずかしくて、益々身体を熱くする。



「入れるぞ…」

「うん…。また痛い?」

「痛くないようには努力する」
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