海よりも深くて波よりも透明

潮の色、いろいろ

~夏葉~

大会も終わり、いつも通りの日常を過ごす俺たち。



俺も穂風も休みの今日は、やっぱりいつも通り朝から海に来てる。



波に乗る穂風を、何気なく持ってきたカメラで撮影する。



そんな俺を見て、穂風が「あたしも撮ってみたい」と言うのでカメラを貸した。



波に乗る俺を楽しそうに撮る穂風。



一通り乗ってから穂風の撮った写真を見てみた。



「下手くそ」

「違う違う。夏葉のサーフィンが下手なの」



言ってくれんね。



穂風にデコピンしたら、穂風はへへっと悪戯っぽく笑う。



ったく…。



可愛いわほんと…。



穂風のおでこに一瞬キスをした。



「外で~?」



穂風が、口とは裏腹に、嬉しそうに俺を見る。



「誰も見てねえだろ」



と、思ったのに…。



「oh~! 見ちゃッタ~」



カタコトの日本語が聞こえた。



その声の方を見ると愛姫。



「なんでいるの!?」



穂風が驚いた顔で愛姫を見た。



愛姫がニコニコと笑う。



「留学しにきた!」

「留学?」

「うん。(この前世界大会で負けたの悔しくて、練習の環境を変えてみようと思ったのと、おばあちゃんに集中的にコーチングしてもらおうと思って!)」

「そうなんだ! いつまで?」

「5月にニッポンでまたworld champion ship(世界大会)あるデショ? それまで!」



そうなのか。



穂風と愛姫はお互いにハグ。



そんな2人と一緒に流れでナナに来た。



「お! 愛姫ちゃん。久しぶり」

「ゲンさん! ヒサシブリ~!」



愛姫が満面の笑みでゲンさんに挨拶。
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