海よりも深くて波よりも透明
行きの車の中で聞いたけど、夏葉が1歳のときにご両親が離婚したらしくて、あんまりおお父さんと仲良くした記憶がないんだって。



たまに面会はしてたけど、そんなに仲良くなれなくて大人になってからはほとんど会ってないらしい。



絵奈さんはお父さんと定期的に会ってて仲良いらしいけどね。



「で? 穂風ちゃんと夏葉はやっぱり海で知り合ったの?」



お母さんが楽しそうにあたし達に聞いた。



「あ、そうです! あたしもサーフィンやってて!」

「やっぱり~! 夏葉この前まで海外行ってたから、出会ったのはそのあと?」

「はい、引っ越してきた初日にたまたま知り合って…」

「何それー! 運命?」



お母さん、元気だ…。



でも楽しそうですごく嬉しい。



話しやすいし。



「でも結構若そうだね~。ハタチくらい?」

「あっ、えっと…」



夏葉の顔をちらっと見た。



前に、高校生に手を出したってバレたら怒られるって言ってたよね。



でも嘘つくわけにいかないし…。



あたしがどうしようかとオロオロしてたら、夏葉が口を開いた。



「18歳」



夏葉…。



はっきり言ってくれるんだね…。



「まさか、高校生じゃないよね?」



お母さんの顔色が若干変わった。



夏葉の方を真剣に見る。



反対されたらどうしよう…。



「いや、高校生。高3」



夏葉が言った。



覚悟決めてる顔だ…。



「あんた高校生に手出したの!?」

「信じらんない! 穂風ちゃんの親御さんとちゃんと話した?」



お母さんと絵奈さんが口々に言う。



「話したしもう何回も会ってるし家にもお邪魔させてもらってる。俺も最初葛藤あったけど今はご両親から信頼も得てるから。穂風のこと、すげえ大事にしてるし」



夏葉が真剣な顔で2人に言い切った。
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