海よりも深くて波よりも透明

波は心地よく揺れ

~夏葉~

土曜日の朝。



今、幸福を感じまくってる俺…。



腕の痛みで目覚めた俺は、目の前にある穂風の寝顔に一瞬で癒やされた。



思わず穂風のおでこにキスをする。



穂風がそれに反応して、少し目を開けた。



それから寝ぼけながら猫みたいな顔で俺にキス…。



と、思ったら、キスしながらまた眠りの世界へ戻って行く。



なんだそれ…。



可愛すぎんだろ…。



可愛すぎて俺、バカになる…。



心臓締め付けられてるし?



俺のこと殺す気か…?



襲いてえ~…。



この腕じゃ無理だけど。



はあ~…。



穂風の髪をなでながら寝顔を見ていると、いつの間にか俺も再び眠りへ落ちていった。



次に目が覚めたのは、魚の焼ける匂いで。



「はよ…」

「あ! 夏葉! おはよ~」

「起きんのはええな」

「うん、すっきり目覚めた!」

「最初に起きたときはすぐ二度寝したけどな」

「うん? なんのこと?」



覚えてねえのかよ…。



それからしばらくして食卓に朝食が並んだ。



うまいし。



「うまいな」

「へへ、あたし魚焼くくらいしかしてないけどね。あと全部ママのお惣菜」

「十分。ありがとな?」



朝飯を食ってから、出かける支度。



海にも行けず仕事もほとんどできない俺。



今日は美術館に行く。



穂風は興味ないだろうから1人で行こうと思っていたが、穂風も行くと言うので2人で出かけた。
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