海よりも深くて波よりも透明
それからまたしばらく経って、夏葉の腕も良い感じに治ってきた。



今日は、海で練習するあたしを見に来てる夏葉。



波に乗っていると、夏葉のカメラのファインダーがあたしを捉えるのがわかった。



気にせずに波に集中する。



その日のサーフィンを終え、砂浜で待つ夏葉の元へ。



「さむい…」

「おつかれ。早く帰るぞ」

「んー」



その場にサーフボードを置いて、夏葉の背中にしがみついた。



「あったかい…」

「…俺は寒いんだけど?」

「一緒に風邪引こう?」

「ったく…」



なんてね!



夏葉から離れて再びサーフボードを持って駐車場まで歩いた。



車で家に帰って、2人で熱いシャワーを浴びる。



夏葉の髪の毛を乾かしてあげてから自分の髪の毛を乾かしてると、夏葉は何やらパソコンでさっき撮った写真を見てるみたい。



夏葉を後ろから抱きしめてのぞき込んだ。



なんかすごく素敵な写真…。



写ってるあたしがキラキラして見える。



「夏葉の写真がうまくなったのか、あたしのサーフィンが上達したのか、どっち?」

「どっちも」

「やっぱり?」



あたし達、これからまだまだ上にあがって行けるね。



夏葉のほっぺに一瞬キスして、よりいっそうぎゅっとくっついた。
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