海よりも深くて波よりも透明
断ろうと思った瞬間、穂風がぐいっと前に出た。



「夏葉是我的(夏葉はあたしの)」



穂風…?



まさかわざわざ覚えたのか…?



「(夏葉、この子華語分かるの?)」

「(いや…)」



穂風はにっこり笑ってる。



それから美玲に「Don’t touch my boyfriend(あたしの彼氏に触らないで)」と言い放った。



「(いや…今別に触ってないし…)」



美玲がそう言って苦笑い。



でも穂風には届いてない。



穂風はそれだけ言って俺の腕を引っ張って行った。



「あたしガキだった?」

「まあガキはガキ」

「やっぱり?」

「でもそんだけ俺のこと好きなの分かるから問題ナシ」



俺がそう言ったら穂風が横から俺に抱きついた。



「大好き」

「はいはい」

「夏葉はー?」

「はいはい」

「ねえ!」



俺の腕を叩く穂風に笑い、穂風の頭を押さえておでこにキスした。



穂風は頬を膨らましながらも笑ってた。
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