海よりも深くて波よりも透明
~穂風~

アジア大会も終わり、日常が戻ってきた。



と、思いきや。



良い意味で非日常な出来事が。



「夏葉おめでとう~!」



なんと、夏葉がアジア大会で撮った悠星くんの写真が、世界的に有名なサーフ雑誌の表紙を飾った。



その雑誌の表紙に載る悠星くんもすごいけど、その表紙を飾る写真を撮った夏葉が本当にすごい。



悠星くんごめん、夏葉のことしか考えられないや。



今日は、愛姫が今住んでる花枝さんの家で夏葉と悠星くん、それから優勝したあたしのことを祝う会。



花枝さんが手作りの美味しいご飯をたくさん出してくれてる。



「俺まですみません」

「いいのいいの! あの雑誌の表紙なんて本当すごいよ」

「ありがとうございます」



夏葉は緊張した表情。



夏葉と花枝さんは、前に一瞬家に行ったくらいでほぼ接点ないもんね。



全然ごはん喉通ってないじゃん。



「夏葉、あーん」

「…」



あたしのおでこをぺしっと叩く夏葉。



食べさせてあげようと思っただけじゃん!



まあちょっとからかいも入ってたけど…。



「でも、ユウセイもナツハもミカゼもホントにすごい!」



愛姫が突然言った。



「あたしチョット嫉妬した! あたしもタイカイ出たかったー!」

「仕方ねえだろ」

「仕方ねえケド~!」



この2人、ほんと仲良くなったね…。



ずっと一緒に花枝さんの元で練習してたもんね。



「にしても、今回日本人選手、好成績だな」



悠星くんが言った。



あたしは黙ってそれを聞く。



「日本では絶対王者の穂風はもちろんとして、俺も3位だし、杉下真恋も3位だろ? 俺も杉下真恋も今回で急にすげえ伸びたって感じする」

「…」
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