海よりも深くて波よりも透明
夏葉の身体にぴったりと沿う。



そのまま夏葉があたしのおでこにキスした。



冷え切った顔に夏葉の熱が伝わる。



うう~、ドキドキするじゃん…。



夏葉のコートのポケットに手を入れて歩き始めた。



ちょっとして着く地元の神社。



小さい神社だけど、人がたくさんいる。



お参りの列に並んだ。



「夏葉、あと1分で年明けるよ」

「そうだな」



2人でじっとスマホの時計を見つめる。



時間が0:00になった。



「今年もよろしく」



夏葉がそう言ってあたしの顔を両手ではさんだ。



寒さとお酒で火照った夏葉の頬が可愛すぎる。



「チューしたい?」

「お前はどうなの?」



夏葉がそう言うから夏葉の顔をぐっと寄せて、答えずにそのまま一瞬キスした。



すぐ離そうと思ったのに、夏葉がそのまま濃厚なチュー…。



やっぱちょっとお酒臭い…。



こんな人いっぱいいるのに!



夏葉が唇を離してからにやっとした。



やっぱ酔っ払いだ!!



だけど、あたし達がそうやってしてたら、「岩崎?」と声をかけられた。



えっ、誰!?



声の方を見ると、中学のときのクラスメイト…。



「加藤くん…」



今の見られた!?



超恥ずかしい…。



「うわー、岩崎じゃん、久しぶり!」

「ひ、久しぶり…」



夏葉を見ると、「誰?」と不機嫌そうな顔。



高校生のガキには嫉妬しないって前話したとき言ってた気がするんだけど…。



お酒の力ってすごい。



「えっ、岩崎も初詣?」

「まあそんな感じ…」

「彼氏? すげえ大人っぽい」

「まあね…」
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