海よりも深くて波よりも透明
やっぱ絶対見られてたよね?



恥ずかしさに若干の居心地の悪さを感じていたら、加藤くんの周りに友達っぽい男の子たちが集まってきた。



「加藤が美人の女と話してる~」



うわあ、嫌なノリだ…。



早くどっか行きたい…。



そう思ってたら、夏葉があたしの頭をぐいっと自分の胸に引き寄せた。



「俺の彼女のこと、『女』呼ばわりしないでもらえます?」



夏葉~…!



最高の彼氏…。



「あっ…すみません」



みんな萎縮しちゃってるし!



そのままそそくさといなくなった。



「ふうー…安心した。夏葉ありがと!」

「それより、さっきの誰?」

「あっ、中学の同級生」

「ふーん。俺の知らない穂風を知ってる男、気に入らねえな」



やっぱめちゃくちゃ嫉妬してる!



きゅーん…。



「でもこれから先の全部のあたし知るからいいじゃん?」

「当たり前。でも過去のお前も全部知り尽くしてえ」



普段こんなこと言わないのに。



酔ってる夏葉も超良いかもしれない。



それからお参りを済ませ、家に帰った。



帰ったら、まだ飲んでるママとパパ…。



仲良さそうに寄り添って座ってる。



「おかえり」

「ただいまー」

「夏葉、まだ飲めるでしょ?」



酔ってる夏葉も良いけど、アルハラ反対!



だけど夏葉も割とノリノリでまた飲み始めた…。



テレビを見ながら年越しそばのカップ麺を食べるあたしに、酔ってもたれる夏葉。



んもう~…。可愛いけど、しっかりしてよね…。



だけどまあ、いつもめちゃくちゃしっかりしてるから、たまにはいっか。
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