海よりも深くて波よりも透明
夏葉を立たせて、夏葉が泊まる部屋まで連れて行く。



同室はパパママから厳しく禁止されてるので…。



夏葉の家に2ヶ月弱入り浸ってたのに今更って感じだけどね。



「じゃあね、おやすみ」



そう言って部屋を出ようとした。



その瞬間、夏葉の腕が伸びて、強制的にベッドの中に…。



夏葉が全身であたしを包み込む。



目をつぶったまま、あたしの頭を強くなでる。



「夏葉…ママとパパに怒られるよ…」

「たまには怒られとく」



そう言う夏葉に、どうしようもなく胸が締め付けられた。



胸の奥がキュンキュンと鳴りすぎてうるさいくらいだ。



暖かくて、幸せすぎて、好きすぎて、もう少しもここから動きたくないと思った。



明日、あたしも怒られよう。



あたしも夏葉にしがみついた。



夏葉は、それに応えるように、さらに強く抱きしめた。



「お前のこと、大事すぎてどうしたらいいかわかんね…」



ちょっと切なそうにつぶやくその声が、さらにあたしの胸を締め付ける。



愛が溢れすぎてどうしよう…。



もう一生こうしててもいいかもなんて、本気で思った。
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