海よりも深くて波よりも透明
それから着いたご飯屋さん。



ちょっといいとこ。



この前の悠星くんの写真が売れてから夏葉も少しお金に余裕ができたみたい。



今日は夏葉のおごり~!



なにもかもが嬉しくて、始終ニコニコのあたし。



夏葉がふっと笑った。



「なに?」

「可愛いなって」



そう言ってからメニューを開く。



ああ~好き。



たまにはこんなデートもめちゃくちゃ良いね。



注文した料理が届くのを待っていると、夏葉が何やら箱をあたしの前に出した。



「なあに?」

「入学祝い。開けてみて」



ほんとに!?



嬉しい…。



嬉しくて、ワクワクしながら箱を開けた。



箱の中には、ブランド物の綺麗な腕時計。



素敵…。



「夏葉ってほんと最高…。センス超良い…」

「喜んでもらえたようで何より」



さっそく腕にした。



このピアスも腕時計も。



宝物が増えた!



こうして、夏葉からもらったもので囲まれていったらめちゃくちゃ幸せじゃない?



どこにいたって夏葉を思い出せる。



それから、ご飯を食べてお店を出た。



「美味しかったね」

「だな。今からどうする? 俺んち来るか?」



そのとき、あたしのスマホと夏葉のスマホに同時に着信が来た。



2人で顔を見合わせる。



発信先を見たらリア。



「もしもし?」

《あ、出た》

《こっちも出たわー》



うん?



リアの声の向こうで郁の声がした。



なるほどね、この2人であたしと夏葉に電話かけたのか…。



「なに?」

《今あたしの部屋に郁来てんだけど穂風たちも来なーい?》



リアは大学入学をきっかけに一人暮らしをはじめた。



大学は、郁と同じところ。



リアの学力なら、あたしと同じ私立トップの大学を一般入試でもいけるのに、教わりたい教授がいるとかで少しレベルを落として大学に入った。



それでも私立上位の良いとこだけどね。



リアの誘いに乗ることにして、2人でリアの家まで。



「お邪魔しまーす」



リアの家に上がると、郁とリアがベッドの上で肩をくっつけながらテレビを見て笑ってた。



ほんと仲良いな…。
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