海よりも深くて波よりも透明
「あんま根詰めすぎて体調とか壊すなよ?」

「ん! ありがと」



だけど、なんなら体調壊すくらい頑張りたい。



もちろん身体が資本だから体調壊したらなんの意味もないけどね。



あたしは負けるわけにはいかないの。



オリンピックも控えてるし。



まずは、5月にある世界大会で優勝しなきゃ。



そんなことをぶつぶつ考えていたあたし。



「…だろ?」

「…」

「おい、聞いてんのか?」

「へっ?」



夏葉があたしに呼びかける声に全く気がつかなかった。



やばいやばい…。



「まったく俺の話聞いてなかっただろ」

「へへっ…」

「ったく…」



夏葉がそう言って立ち止まる。



繋いでないもう片方の手であたしのおでこに軽くデコピンした。



そのまま軽くあたしの頭をなでる。



「なんか抱えてることあったら俺に吐き出せよ?」

「うん?」

「ストレス溜めんなよ」



別に溜まってないと思うけど…。



ちょっと話聞いてなかっただけなのに大げさだな。



大事にされてて嬉しいけど!



それから家の前に着いて、こっそりチューしてから家の中に入った。



大学生活もサーフィンも、もっともっとがんばろう!
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