海よりも深くて波よりも透明
「1位にこだわるのって、アスリートなら普通じゃない?」
「お前は十分実力あるのに、必要以上にそこにこだわっていて、焦っちまってるところがあるだろ」
「何言ってるのかわからない。1位取るなってこと?」
「そうじゃねえよ。俺が心配してんのは、そこにこだわりすぎてプレッシャーに潰されんじゃねえかってこと」
「はいはい。パパもママも、夏葉までそんな話ばっかり。分かったから」
穂風は聞く耳を持とうとしない。
どうしたら伝わるんだろうか…。
「穂風! ちゃんと聞け」
少し大きめの声を出した俺。
穂風が驚いた顔をしてから、泣き出した。
俺は車を脇に停止させる。
「あたしが1位目指して何が悪いの? みんなが何言ってるのかあたし全然わかんない」
泣きながら穂風が俺に訴える。
穂風の手に触れた。
それから優しく頭を撫でる。
「悪いなんて言ってねえよ。穂風は十分頑張ってる。順位で頭いっぱいにして、いま心に余裕がないだろ。俺も、そよ子さんも龍臣さんも、そこを心配してんだよ」
「記録を維持しなきゃ、あたしまた舐められる! どんな気持ちで今までこの世界で生きてきたと思ってるの!?」
穂風の苦しい気持ちはずっと伝わってきてた。
この話でこれだけ泣いて怒るくらい、穂風の中でプレッシャーが限界に近いんだと思う。
元々プレッシャーが強い状況の中で、最近勢いの良い杉下真恋が現れて。
今まで日本の選手の中で突出していたからギリギリ耐えてこられた部分が崩れ初めてる…。
「分かってる。だからこそだよ。プレッシャーに潰されて心に負担かけて自分の力を出し切れなきゃ元も子もねえだろ」
「あたしの気持ちなんて分かるわけないよ。この世界で好成績を残し続けて、もっと上に上に行かないと、誰の娘でもない岩崎穂風にはなれないの!」
穂風はそう言って泣きながら耳をふさいだ。
サーフ界の大物2人の娘という環境で18年生きてきて、今さら俺がなにか言っても穂風の心は簡単には変えられない…。
「お前は十分実力あるのに、必要以上にそこにこだわっていて、焦っちまってるところがあるだろ」
「何言ってるのかわからない。1位取るなってこと?」
「そうじゃねえよ。俺が心配してんのは、そこにこだわりすぎてプレッシャーに潰されんじゃねえかってこと」
「はいはい。パパもママも、夏葉までそんな話ばっかり。分かったから」
穂風は聞く耳を持とうとしない。
どうしたら伝わるんだろうか…。
「穂風! ちゃんと聞け」
少し大きめの声を出した俺。
穂風が驚いた顔をしてから、泣き出した。
俺は車を脇に停止させる。
「あたしが1位目指して何が悪いの? みんなが何言ってるのかあたし全然わかんない」
泣きながら穂風が俺に訴える。
穂風の手に触れた。
それから優しく頭を撫でる。
「悪いなんて言ってねえよ。穂風は十分頑張ってる。順位で頭いっぱいにして、いま心に余裕がないだろ。俺も、そよ子さんも龍臣さんも、そこを心配してんだよ」
「記録を維持しなきゃ、あたしまた舐められる! どんな気持ちで今までこの世界で生きてきたと思ってるの!?」
穂風の苦しい気持ちはずっと伝わってきてた。
この話でこれだけ泣いて怒るくらい、穂風の中でプレッシャーが限界に近いんだと思う。
元々プレッシャーが強い状況の中で、最近勢いの良い杉下真恋が現れて。
今まで日本の選手の中で突出していたからギリギリ耐えてこられた部分が崩れ初めてる…。
「分かってる。だからこそだよ。プレッシャーに潰されて心に負担かけて自分の力を出し切れなきゃ元も子もねえだろ」
「あたしの気持ちなんて分かるわけないよ。この世界で好成績を残し続けて、もっと上に上に行かないと、誰の娘でもない岩崎穂風にはなれないの!」
穂風はそう言って泣きながら耳をふさいだ。
サーフ界の大物2人の娘という環境で18年生きてきて、今さら俺がなにか言っても穂風の心は簡単には変えられない…。