海よりも深くて波よりも透明

海風がそっと

~穂風~

夏休み中のあたしは、夏葉と会い放題。



今日は外でデートです。



車で迎えに来てくれる夏葉を家の前で待つ。



今日のあたしは、デカめのTシャツにミニスカートと、厚底のサンダル。



長い髪をポニーテールにしていて夏らしく。



夏葉をしばらく待っていると、いつもの車が見えてきた。



あたしは一瞬にして満面の笑顔になる。



家の前に車が止まったので乗り込んだ。



「ひさしぶり!」

「何が久しぶりだ。昨日も会っただろ」

「夏葉のいない1分1秒が長いんだよ~」



そう言ってにこにこと夏葉を見つめる。



「ねえ、チューは?」



笑顔のまま夏葉に言う。



夏葉は呆れた顔でふっと笑った。



「龍臣さんいねえ?」

「家にはいるけど見てない!」

「しょうがねえな…」



そう言ってあたしの後頭部に手をやって引き寄せ、一瞬のうちに濃厚なキス。



顔を離した夏葉は、あたしの顔をじっと見る。



最高すぎ…。



頭をぐしゃぐしゃ撫でてから、夏葉があたしのシートベルトをつけさせて出発した。



運転する夏葉の横顔をじっと見る。



ほんとかっこいい。



信号待ちのタイミングで夏葉があたしの顔を見て余裕そうに笑う。



ほんとかっこいい…。



なんてしてるうちに、目的地に着いた。



今日はショッピングモール!



大学生になったあたし、ちょっとおしゃれをしてみようかなと思って、夏葉に着いてきてもらうことにしたの!



本当はリアと来ようと思ってたんだけど、リアは夏休みを利用してタイに留学に行ってしまった。



あたしのことはかなり気にかけてくれてて、毎日何気ないやりとりはしてるけどね。



1階のコスメショップに入ると、キラキラした化粧品たち。



スキンケア系はイメージモデルもしたことがあるから何となく分かるけど、メイク系は全然わかんないや…。
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