海よりも深くて波よりも透明

海面のきらめき

~夏葉~

最近穂風が気になる。



好きとかではないと思うがなんか…とにかく気になる。



この前『夏葉とだったら付き合いたいかも』なんて聞き、少しドキっとしてしまったのも事実。



あんま何も考えずに言ったんだろうが、そう言うってことは穂風もまんざらじゃないわけで…。



洗濯されて返ってきた穂風に貸した服からは、穂風の家の柔軟剤の匂い。



そんなのが香ると穂風の笑顔が脳裏をよぎって。



時間が経ったら付き合ったりとかもあるかもな…。



なんて考えてた4月のある日。



今日も早朝に海へ出かけた。



いつも通り穂風は先に来て波乗り中。



いつも同じポイント(※サーフポイント)にいるわけではないけど、最近はまじで穂風と場所が被る。



今日も穂風と一緒で嬉しいような気も…。



「夏葉おはよ」



早速海に入ると、すぐに気がついた穂風が俺に声をかける。



「はよ~」



だいたいいつもここから昼前後まではいる。



でも今日は違った。



7時過ぎになって、穂風が

「あたし今日はもう上がるね」

と言った。



早くね…?



最後の波に乗るためパドリング(※サーフボードの上で両手をクロールのように漕ぐこと)をはじめようとした穂風の腕を思わず掴んだ。



穂風は「えっ?」という顔。



「今日なんかあんの?」

「え、あ、いや…。学校今日からだから…」



学校!?



え、穂風って俺と同じくらいじゃねえの…?



あっ、1、2くらい下で大学生ってことか…。



「大学生大変だな」



俺がそう言ったらびっくりした顔をされた。



俺、なんか変なこと言った?
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