海よりも深くて波よりも透明
にこにこしながら手を振る圭吾さんに軽く挨拶してお店を出た。



あたしは夏葉の腕を組みながら夏葉の顔を笑顔で覗く。



「嫉妬してた?」

「まあ気に入らねえのは確かだな」

「なんで? 圭吾さん彼女いるよ」

「関係ねえな」



関係ねえんだ…。



やっぱかわいい!



「穂風って基本どんなに年上でもため口なのに、大学の先輩にはそうじゃねえんだな」

「言われてみればたしかに…」

「だから余計気に入らねえのかも」



ふうん…。



あたしは試しに夏葉に敬語を使ってみることにした。



「夏葉さん、さっき買ってあげた服、いっぱい着てくださいね?」

「…なんかエロいな」



なにが!?



あたしなんもエロいこと言ってないよね!?



「夏葉の心がいやらしいんだ…」

「言い返せねえ」

「も~、バカだよ…」

「早く帰ってエロいことするか」

「そんな話してない!」



まあいいけどね!



買い物が一通り終わって、また夏葉の車に乗り込んだ。



って、あれ?



「あれ悠星くんじゃない?」

「ん? …お、まじだ」



駐車場に悠星くんがいるのが見える。



なんか女の子と手つないでる?



悠星くん、彼女できたのかな…って、愛姫!?



なんで!?



夏葉も驚いてるみたい。



車で2人に近づいた。



「おーい」



窓を開けて声をかけると、2人とも驚いた顔であたし達を見てる。



あたし達がもっと驚いてるよ…。
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