海よりも深くて波よりも透明
なんでアメリカにいるはずの愛姫がここにいるのかも、それ以上に、なんでこの2人が手を繋いで歩いてるのかも。



とりあえず、ここじゃ話が出来ないので、それぞれの車で夏葉の部屋に集まることになった。



「…で? 2人は付き合ったってことですか?」

「Yes…」

「聞いてないけど!?」

「I’m so sorry…」



後ろめたそうな愛姫。



一方悠星くんはいつも通りひょうひょうとしてる。



あんなに仲が悪かった(というか愛姫が一方的に嫌ってた)2人がまさか付き合うなんてびっくりだ。



たしかに最近は仲良くしてたけど。



「いつから?」

「昨日…」

「昨日!?」



めっちゃできたてカップルじゃん…。



夏葉はニヤニヤしてる。



「どんな感じでそんな流れに?」

「(5月にあたしが帰国するとき、もう悠星に会えないと思ったら寂しすぎて死にそうで…そのとき好きってわかったの)」



愛姫は、照れてるのか英語で話した。



「(そしたら、悠星もあたしに『好きなんだけど』って言ってくれて…)」

「まじ? 悠星くんってそんな感じなんだ」



あたしがニヤニヤと悠星くんに言った。



夏葉も「お前やるな」とニヤニヤ。



英語のわからない悠星くんは、突然そんなことを言われて「なにが?」という顔。



まあほっとこう。



あれ? でも付き合ったのは昨日ってことはそのときは付き合わなかったってこと?



「(遠距離だったし、オリンピックも控えてたから、あたしも迷っちゃって、そのときは付き合えなかったの)」

「(なるほどね)」

「(でもやっぱ会いたすぎて、あたしが悠星に会うために今回また日本来たってわけ)」



そういうことだったんだ…。



愛姫は恥ずかしそうに顔を赤くしてる。



かわいいな…。
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