海よりも深くて波よりも透明
愛姫って恋愛に対してそういう感じだと思わなかった。



でも2人が幸せそうで良かった。



にしても、愛姫とはオリンピックぶり。



オリンピックで金を取ったのは、愛姫だった。



だから、2人の幸せとは別に、今日愛姫に会ってから実はずっとちょっと心が騒いでて。



2人が帰ったあと、あたしはほっと息を吐いた。



夏葉があたしの頭に手を乗せる。



「なに?」

「べつに?」



夏葉も心配してくれてたんだね…。



まだまだ、あたしは克服できてないみたいだ…。



あたしは無理に笑顔を作って、夏葉の首に両腕を回した。



「ねえ、今日まだ1回しかチューしてないよ?」

「してねえな」

「してくれないの?」

「お前からしたら?」



急に意地悪モードだ!



夏葉はいじわるそうにニヤニヤ。



あたしも負けじと応戦。



「じゃあ先にチューした方が負けね」

「言ったな?」

「あたし負けないから」



負けず嫌いのあたしはそう言って、腕を回したまま、ぐっと顔を近づけた。



あと少しで唇が触れてしまう距離。



う~じれったい…。



夏葉があたしの頬に手を触れた。



軽くその頬を撫でる夏葉。



ずるい…。



色っぽすぎ…。



あたしは、夏葉の目を上目遣い気味にぐっと見つめた。



負けそう…。



心なしかあたしの目がちょっと目が潤んでる。



ん~、チューしたい…。



降参しそうになったそのとき、唇が熱くなった。



夏葉があたしを食べちゃうみたいにキスしてる。



勝った!



夏葉が一瞬唇を離した。



「完全に負けたわ…」

「だから言ったじゃん」

「強いなお前」

「夏葉があたしのこと好きすぎるんだよ」

「間違いねえな。負けたからには堪能させろ」



そのまま夏葉からキス攻撃を受け続けた。



バカップルっぽい。



まあなんでもいいけどね!



だって幸せだもーん。



しばらくお互いキスし合っては笑って、幸せな時間を過ごした。
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