海よりも深くて波よりも透明
「…なんか失礼なこと考えてる?」

「え? な、なんで?」



バレた!



「この時間は仲良いやつはみんな午後からの授業で家にいんの」

「そ、そうなんだ…」



失敬失敬。



「そういえばこの前本屋行ったらスポーツ雑誌の表紙に岩崎いてめちゃくちゃ驚いた!」



食べながら他愛もない話をしていると、野本くんが思い出したかのように言った。



「あ、それ多分あたしが本格復帰したときのやつだ」



あの写真は結構いろんな雑誌で使われてたし。



ネットニュースとかにもなったからかなり色んな媒体に載ってる。



「岩崎がサーファーって知ってから結構サーフィン系のもの目に入るようになってさ」

「へ~」

「お、サーフィンの写真だ~ってよく見たら岩崎でびっくりした。めちゃくちゃかっこいいな」

「ありがと! 実はあの写真彼氏に撮ってもらったやつなんだよね」

「あのイケメンの彼氏ね。めちゃくちゃすごいな!」



へへ。



褒められて良い気分だ。



お昼休みが終わるので、次の授業に行こうとしたら野本くんも同じ授業なことが判明した。



いつも後ろの席に座ってて、『岩崎いるな~』と思ってたらしい。



というわけで、毎週この時間のお昼は一緒に食べることになった。



わーい、友達増えた!



「この授業眠いよな~」

「わかるー」



そして今日もウトウト…。



してたら授業が終わった。



今日の授業はこれで終わり!



夏葉に会うまでまだちょっと時間あるから部室に顔出そうかな。



「あたし今から部室行くけど野本くんは?」

「まじ? 俺も次空きコマだから行こうと思ってた」



というわけで一緒に部室へ。



「へ~、じゃあその彼氏さんがスランプから抜けさせてくれたんだ」

「そうなの! 大好き」

「でその写真きっかけに彼氏さんも有名人になったと」

「まあね」

「良いカップルだな~。かっけえ」
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