海よりも深くて波よりも透明
部室には誰もいなくて、あたしと野本くんは2人で雑談タイム。



「野本くんは恋人とかいるの?」

「一応いるよ。付き合ったばっかだけど」

「へ~。どんな人?」

「同じ学部の人。笑った顔がかわいいの!」



2人で恋バナで盛り上がった。



なんか仲良くなれた気がする!



大学に友達とかがいないからちょっと嬉しい。



話に盛り上がってたらいつの間にか行かなきゃいけない時間。



「じゃあ夏葉のこと迎えに行ってくるね~」

「おう!気をつけてな~」



野本くんに別れを告げてから空港へ。



久しぶりの夏葉。



時差もあって、この期間そんなに話せてないから久しぶりに夏葉と会えて嬉しい。



空港でしばらく待ってたら出口から夏葉が来た!



あたしにすぐ気づいてくれる夏葉に駆け寄って抱きついた。



「会いたかったよ~」

「お~、人目あんぞ~」

「いいもーん」



でもチューはやめとく!



「おつかれおかえり!持ってあげるから荷物ちょうだい!」

「いやいいわ…。それより早く家帰りてえ。車?」

「うん! 大学に車で乗り付けてやった!」

「ははっ。バレたらすげえ怒られそうだな」

「ちゃんと申請したもんね。えらい?」

「えらいえらい」



あしらわれてる~…。



まあいいや。会えて嬉しい!



夏葉と一緒に空港の駐車場まで行く。



サーフィンの道具とカメラの機材を持つ夏葉はとにかく荷物が多い。



あたしが半分荷物を持ってあげても横並びできなくて手がつなげない…。



ようやく駐車場に着いて車に荷物を積み込んで一息。



助手席の夏葉を見てへらっと笑ったら、夏葉がおもむろにあたしの頭を撫でた。



「ありがとな、迎え来てくれて」

「当たり前だよ~」

「会いたかった」



夏葉がそう言って軽くあたしを抱き寄せた。



あったかい…。



幸せだ…。
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