海よりも深くて波よりも透明
入り江から
~穂風~
今年もMAKANAの合宿がはじまった。
世界選手権の会場に合わせ、今回の合宿地はフィリピン。
去年は新人枠での参加だった夏葉は、今年はメインのフォトグラファーとしての参加。
夏葉の実力がこうやって認められていってうれしい。
ニコニコするあたしに、夏葉が「お前のおかげ」と頭をなでてくれる。
ちなみに、公私混同しないようにとMAKANA側からは注意を受けているらしい。
だけど、どうやら夏葉の写真はあたしを好きなことがバレバレだとアンディやリアムから言われているので、「どこまで公私を分けられっかな…」と頭をかいていた。
自覚がないなら直すの難しいよねえ。
あたしは他人事だ。
だってその分夏葉があたしのこと好きってことだからうれしいもんね。
今回日本からの合宿参加選手は、あたしと悠星くん。
そして、今年初参加の杉下真恋選手…。
因縁というか、トラウマとも言える選手なのでちょっと不安ではある…。
でももう乗り越えたから…頑張るしかない。
あたしも夏葉もまだ杉下真恋と関わる機会がなく話したことがない。
どんな選手なんだろうか…。
なんて思いながら、集合場所の空港ロビーで、日本からの参加者がそろうのを待つ。
朝が早く、緊張であまり眠れなかったあたしは、気づいたら夏葉にもたれて寝ていた。
しばらく待つと、「遅くなりましたあ~」と高い声が聞こえた。
その声でぼんやりと目を覚ます。
見ると、杉下真恋。
ピンクに染めた長い髪に黒いキャップを深くかぶってる。
杉下真恋は一人ひとりに挨拶して回っている。
あたしたちのところにもやってきた。
「あれっ、もしかして桐本さんですか? カメラマンの」
「そうですけど…」
「えー! 嬉しい~!一度お会いしてみたかったんです~。今日楽しみにしてました!」
「そりゃどうも…」
思ったよりキャピキャピしたタイプだ…。
なんかちょっとやな感じを受けるのはあたしが小さい人間だから?
真恋があたしにも目を向けた。
「あっ、岩崎穂風さん! 岩崎龍臣さんの娘さんの! はじめましてえ~」
やっぱまじで苦手かも…。
あたしは少々引きつり気味。
「はじめまして~…」
夏葉が心配そうにあたしを見ていた。
今年もMAKANAの合宿がはじまった。
世界選手権の会場に合わせ、今回の合宿地はフィリピン。
去年は新人枠での参加だった夏葉は、今年はメインのフォトグラファーとしての参加。
夏葉の実力がこうやって認められていってうれしい。
ニコニコするあたしに、夏葉が「お前のおかげ」と頭をなでてくれる。
ちなみに、公私混同しないようにとMAKANA側からは注意を受けているらしい。
だけど、どうやら夏葉の写真はあたしを好きなことがバレバレだとアンディやリアムから言われているので、「どこまで公私を分けられっかな…」と頭をかいていた。
自覚がないなら直すの難しいよねえ。
あたしは他人事だ。
だってその分夏葉があたしのこと好きってことだからうれしいもんね。
今回日本からの合宿参加選手は、あたしと悠星くん。
そして、今年初参加の杉下真恋選手…。
因縁というか、トラウマとも言える選手なのでちょっと不安ではある…。
でももう乗り越えたから…頑張るしかない。
あたしも夏葉もまだ杉下真恋と関わる機会がなく話したことがない。
どんな選手なんだろうか…。
なんて思いながら、集合場所の空港ロビーで、日本からの参加者がそろうのを待つ。
朝が早く、緊張であまり眠れなかったあたしは、気づいたら夏葉にもたれて寝ていた。
しばらく待つと、「遅くなりましたあ~」と高い声が聞こえた。
その声でぼんやりと目を覚ます。
見ると、杉下真恋。
ピンクに染めた長い髪に黒いキャップを深くかぶってる。
杉下真恋は一人ひとりに挨拶して回っている。
あたしたちのところにもやってきた。
「あれっ、もしかして桐本さんですか? カメラマンの」
「そうですけど…」
「えー! 嬉しい~!一度お会いしてみたかったんです~。今日楽しみにしてました!」
「そりゃどうも…」
思ったよりキャピキャピしたタイプだ…。
なんかちょっとやな感じを受けるのはあたしが小さい人間だから?
真恋があたしにも目を向けた。
「あっ、岩崎穂風さん! 岩崎龍臣さんの娘さんの! はじめましてえ~」
やっぱまじで苦手かも…。
あたしは少々引きつり気味。
「はじめまして~…」
夏葉が心配そうにあたしを見ていた。