海よりも深くて波よりも透明
「ナツハもミカゼの部屋泊まってるノ？」

「そうだよ～」

「(やっぱり恋人と過ごした方が最高のコンディションになる感じするよね！)」



愛姫は悠星に聞かれるのが恥ずかしいのか英語で言った。



「夏葉くんたちいつまでいるの？ 愛姫と明日に備えてイチャイチャしないといけないんだけど」



悠星が言うと、愛姫がまた悠星の肩を殴った。



「いってえ…」

「悠星そんなのばっかり！ ばか！」



これ以上ここにいたら喧嘩に巻き込まれそうだ…。



さっさとフロントに電話すると、すぐスペアキーを持ってくると言ってた。



「じゃあな、明日はよろしく」

「バイバイ！ ミカゼ、あたしまけないからネ！」



愛姫たちに別れを告げて部屋を出た。



しばらく穂風の部屋の前で待ってるとホテルの人がスペアキーを持って部屋を開けてくれた。



「無事部屋に戻ってこれたし、そろそろ寝るか」

「ええ～…？ えっちは…？」

「だめ。睡眠たっぷり取ってコンディション整えて明日に臨みなさい」

「わかった…」



それでも、俺の手をつかんだまま離れない穂風の身体を抱き上げた。



「わっ」

「早く寝るぞ」



そう言ってベッドルームまで連れて行き、ベッドに穂風を投げた。



「乱暴！」

「はいはい」



言いながら俺も一緒に布団に入って横になる。



穂風は文句を言いながら俺の胸の匂いを嗅ぐようにして俺にくっついた。



俺もそっと穂風を包み込む。



穂風の頭をなでながら、しばらく他愛もない会話。



お互いウトウトしてきたところで、穂風が俺に話しかけた。



「夏葉」

「ん？」

「明日…なにがあってもそばにいてね」

「分かってる」



明日が穂風の心の分かれ道かもしれない。



明日が穂風にとってどんな結果であれ、それを受け入れられたなら、穂風はもう大丈夫だ。



穂風にとって良い日になるよう願いながら眠った。
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