海よりも深くて波よりも透明
そして次の日、いよいよ迎えた本番。



波の調子も好調。



大会場所はかなりにぎわっている。



撮影の場所取りをしていたら偶然リアムに会った。



「(久しぶりだな、元気だったか?)」

「(なんとかやってます)」

「(写真見たぞ。なかなか良かった)」

「(まじっすか! ありがとうございます!)」



リアムにも評価されてかなり光栄だ。



うれしい…。



リアムは上裸で煙草を口にくわえながら機材をセットしていく。



めちゃくちゃかっこいい。



「(穂風とはまだ付き合ってんのか?)」

「(おかげさまで…)」

「(そうか。今日、楽しみだな。穂風の復活試合)」

「(まあ心配っすけどね…)」



業界全体が穂風の復帰後の試合に注目してるわけだ。



つまり、穂風の結果がどうであれ、それだけ大会後の穂風の反響がでかいっつーことで…。



ますます心配だ…。



「(リアムは最近仕事の調子どうなんすか?)」



なんとなく聞いてみた。



「(俺は、来年あたり、ちょっとでかいこと考えてる)」

「(まじっすか)」

「(興味ある? あるなら正式に決まったとき声かけるわ)」

「(まじ!? めっちゃ嬉しいっす…)」



リアムの仕事に参加できる…。



詳細がわからなくても、そうやって実力を認めてもらえるのは相当うれしいことだ。



それから始まった大会。



まずは愛姫のいる1ヒート目。



愛姫が乗り始めると、空気が変わった。



今回の大会でロング女子の優勝候補のうちの一人だ。



あの愛姫からは考えられないほど闘気を感じるのが愛姫のサーフのすごいところ。



気持ち良いくらい波をスラスラと乗りこなしていく。



写真も撮りがいがある…。
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