海よりも深くて波よりも透明
≪(お前1年空けられるか?)≫

「(は…?)」

≪(この前でかい仕事やるって言ったの覚えてるか?)≫

「(あ、はい!)」

≪(あれなんだけど、1年かけて世界中のあちこちで撮影して周んだ。もしお前が来るんなら一緒に周ろうぜ)≫



まじか!



めっちゃ急だな!



≪(場合によっては1年以上かかるかも。でも俺はお前に来てほしい)≫

「…」



1年か、それ以上…。



正直、めちゃくちゃ嬉しいし行きたい。



世界のリアム・ミラーからこうやって声がかかることなんてそうそう無いことだ。



今、俺は穂風の写真で世界から評してもらえている。



それなりの名声も得た。



でも、このまま一発屋で終わりたくない…。



もっと勉強して、もっと大きくなりたい。



リアムのところで一緒に働けば学べることも多いはず。



これは俺にとってまたとないチャンスだ。



≪(まあまた考えとけ。早めにな)≫

「(了解っす…)」



電話を切ってベッドの上に大きく寝転がった。



ふう…。



脳裏に浮かぶ穂風の顔。



穂風は一年もの間会えないなんて嫌がるだろうな…。



とりあえず帰ったら穂風に相談しよう。



その日はそのまま眠った。



次の日に宮崎を経って、家に直行した。



今日は授業終わりの穂風が泊まりにくることになってる。



軽く部屋の掃除をしていると、穂風からメッセージ。



『何か買っていくものある?』

『コンドーム』

『いいよ』



いいのかよ…。
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