海よりも深くて波よりも透明
「パパに会いたくならないの?」

「会いたいよ。常に会いたいからずっとラブラブ~」

「常に会いたいのに一緒に住んでないの?」

「一緒に住んでないから常に会いたいんだよ」



難しいな…。



「だってさ、考えてもみてよ。いつも一緒にいたら新鮮さがなくなるの。幸せに慣らされてくんだよ。幸せが飽和状態になる」

「それっていいことじゃないの?」

「いいことだけど、あたしは無理だった。慣れるとお互い求め過ぎるし求められ過ぎるからね~」



そういう考え方もあるのか…。



大好きだからいつも一緒にいたいし、お互いの忙しさが寂しさにつながると思ってたけど。



逆にそれって会うその時間が貴重なものってことだもんね。



「まあ悠星たちの気持ちも分かるけどね」

「うん…」

「付き合ってまだ数か月でしょ? 先が見えないまま遠距離を続けるのもきついよ。あたしたちは確固たる信頼があるから続けられるの」



さすが、結婚して二十年以上のママの言葉だ。



「あたしたち、この一年耐えられるかな」

「夏葉はめちゃくちゃ大人で余裕のある男だからね。あんたが揺らがなければ大丈夫でしょ」

「そうかな」

「あとはあんたがワガママ言い過ぎなければね」



やっぱあたしってワガママ?



夏葉によく言われるけど…。



リアにも夏葉の進路のことで相談したとき怒られたし。



できる限りは自重しよう…。



なんかママと話して元気が湧いてきた気がする。



物は考えようだよね!



夏葉と離れて寂しくて寂しくて仕方ないけど、それが逆に愛情を深めてるんだもん。



夏葉も同じ気持ちでいてくれるはず。



考えてたらもっと夏葉に会いたくなってきた!



次に会えるのは夏休みに入ってから。



写真集の撮影もあるけど…。



会ったら思いっきりぎゅーってしよう!



それまで明るい気持ちで楽しみに待つことに決めたよ、夏葉!
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