海よりも深くて波よりも透明
海岸脇に車を停めて浜辺に降りた。
穂風が靴を脱いで海に向かって走る。
「海~!!」
そう言って楽しそうにはしゃいでる。
そんな穂風は見ていて気持ちがいい。
穂風が波に足を入れた。
「冷たっ」
「そりゃ冷てえだろ」
「夏葉~…おりゃっ」
「おい!」
足で水かけてきやがった…。
俺も応戦。
波には入らず、波打ち際ギリギリで穂風と距離を詰めて追い詰める。
穂風は楽しそうにキャーキャー言って俺から逃げてる。
穂風が、逃げながら砂浜につまずいた。
「あっ…」
穂風がよろめく瞬間、とっさに両手で穂風の両肩を掴んだ。
セーフ…。
って、この距離…。
肩に触れたまま、俺と穂風の間は鉛筆一本分。
2人の空気が一瞬止まって、夜の潮風だけが俺らを揺らした。
俺より頭一つ分背の低い穂風が俺をじっと見つめてる。
冷たい波が俺の足元に来て我に返った。
「…そろそろ帰るか」
「うん…」
帰りの車はほぼ無言。
でも、社内に流れる洋楽が2人を繋いでいるような気がした。
結局穂風の家に着いたのは22時を少し回った時間。
めちゃくちゃデカい家の門の前で穂風を下ろした。
白が基調の、まさに豪邸という感じの家。
家族3人でとんでもない額を稼いでるんだろう。
家だけじゃなく敷地そのものが広い。
ここが岩崎龍臣と川村そよ子の家…。
「今日はありがとね、色々と」
穂風が少しかがんでウィンドウから顔を覗かせて言った。
「ん、またな」
俺がそう言うと、穂風は手を振って家の中に入って行った。
ふー…。
俺は家の前で1人ハンドルに顔をつける。
ちょっとこれはやばいかもしれねえ…。
脳みその細胞が…穂風を好きだと囁きかけてくる。
まだ高校生のガキで、タイプでもなんでもねえ上に恐らく相手にされてねえのに…。
穂風を好きだと、はっきりそう認識してしまった。
前途多難…。
穂風が靴を脱いで海に向かって走る。
「海~!!」
そう言って楽しそうにはしゃいでる。
そんな穂風は見ていて気持ちがいい。
穂風が波に足を入れた。
「冷たっ」
「そりゃ冷てえだろ」
「夏葉~…おりゃっ」
「おい!」
足で水かけてきやがった…。
俺も応戦。
波には入らず、波打ち際ギリギリで穂風と距離を詰めて追い詰める。
穂風は楽しそうにキャーキャー言って俺から逃げてる。
穂風が、逃げながら砂浜につまずいた。
「あっ…」
穂風がよろめく瞬間、とっさに両手で穂風の両肩を掴んだ。
セーフ…。
って、この距離…。
肩に触れたまま、俺と穂風の間は鉛筆一本分。
2人の空気が一瞬止まって、夜の潮風だけが俺らを揺らした。
俺より頭一つ分背の低い穂風が俺をじっと見つめてる。
冷たい波が俺の足元に来て我に返った。
「…そろそろ帰るか」
「うん…」
帰りの車はほぼ無言。
でも、社内に流れる洋楽が2人を繋いでいるような気がした。
結局穂風の家に着いたのは22時を少し回った時間。
めちゃくちゃデカい家の門の前で穂風を下ろした。
白が基調の、まさに豪邸という感じの家。
家族3人でとんでもない額を稼いでるんだろう。
家だけじゃなく敷地そのものが広い。
ここが岩崎龍臣と川村そよ子の家…。
「今日はありがとね、色々と」
穂風が少しかがんでウィンドウから顔を覗かせて言った。
「ん、またな」
俺がそう言うと、穂風は手を振って家の中に入って行った。
ふー…。
俺は家の前で1人ハンドルに顔をつける。
ちょっとこれはやばいかもしれねえ…。
脳みその細胞が…穂風を好きだと囁きかけてくる。
まだ高校生のガキで、タイプでもなんでもねえ上に恐らく相手にされてねえのに…。
穂風を好きだと、はっきりそう認識してしまった。
前途多難…。