海よりも深くて波よりも透明
~穂風~

一週間続いたアメリカ生活も、明日には帰らないといけない。



帰りたくなさすぎる…。



だけどあたしは写真集の撮影もまだ残ってるので帰らないわけにはいかない…。



最終日の今日は、撮影はお休み。



夏葉と一日中2人きりだ。



ニューヨークでデートをすることにしたあたしは朝からおしゃれ。



夏葉に髪の毛をいじられながらメイクをする。



ほっぺにチューされたりしてたまに邪魔される。



「化粧してもしなくてもかわいいのにな」

「そんなこと言ってくれるの夏葉だけだよ」

「そんなことないだろ。化粧して俺以外にもっとかわいい穂風見せてどうする気?」



なんか夏葉がめっちゃ甘い…。



いつもあたしのこと好きなのは超伝わるけど、ここまで甘いのは珍しい…。



「夏葉の隣をかわいいあたしで歩きたいんだよ」

「ただでさえかわいいのに?」



頭おかしくなる!



超嬉しいけど。



あたしの準備が終わった。



夏葉が「あ、髭剃りし忘れた…」と言うので、今度は夏葉の身だしなみタイム。



髭を剃る夏葉を横からまじまじと見つめる。



おもしろーい。



「あ、ここ剃り残してるよ」

「まじ? サンキュ」



よし、剃り終わった!



いってきまーす。



夏葉と恋人つなぎをしてニューヨークの街に繰り出した。



自由の女神とか、タイムズスクエアとか。



代表的な観光地を見て回る。



デートするのも久しぶりでどこに行っても楽しい。



「夏葉、こっち向いて」

「あ?」



夏葉を写真に収める。



夏葉の写真が増えて嬉しい~!



夏葉は夏葉で、持ってきた愛用のカメラであたしのことをめちゃくちゃ撮ってくれる。



「穂風は何しててもかわいいな」



頭から湯気出そう!
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