海よりも深くて波よりも透明
それから朝が来るまで何回か体を重ねて。



体中キスし尽くしたし、キスマークもお互い増えまくった。



この痕が消えなければいいのに…。



朝方、ぼーっとしながら2人でシャワーを浴びる。



体中ぐちゃぐちゃだ…。



ホテルを出るまでまだ少し時間があったので、まったりとソファに座った。



夏葉があたしに寄りかかる。



「ノーブラ最高~」



そう言いながらあたしの胸を触ってくる…。



「良いわこれ」

「それなら良かったです…」

「次、穂風に会うまで禁欲生活、よりきついな」

「浮気せずに一人で頑張ってね」



飛行機が出るまであと少し。



支度をして、2人で空港まで来た。



「じゃあな…。体に気をつけろよ?」

「うん…」



あたしはすでに泣きそうだ。



夏葉と強く抱きしめ合って、手を振って別れた。



数か月ぶりに会う喜びが大きすぎて、離れるのがこの前よりもつらいかも…。



飛行機に乗り込んで離陸すると、あたしは一人でちょっと泣いた。



夏葉が早く帰ってきますように…。



帰ってくるまであと半年くらい…。



耐えられるんだろうか…。



そして日本に戻ってからも、以前と変わらぬ毎日。



夏葉があたしに写真を送ってくれて、それを楽しみにする日々。



夏葉のフォトグラファーとしての名前も以前より聞くようになった。



夏葉の海外修行の成果が出ていてすごく嬉しい。



どんどんこうやって世界で大きくなっていくんだな…。



そしてあたしの写真集もようやく出版された。



早速夏葉に送ると、『すげえいいな!!』と嬉しそうに返事が返ってきた。



『でもやっぱ俺以外のクリエイターが穂風をこんなに良く撮ってると妬けんね』

『また撮ってよ』

『おう、ぜってえ撮るわ』
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