海よりも深くて波よりも透明
~穂風~

恋をしてるって幸せだ。



毎日が輝いて感じる。



朝起きるだけでなんだか嬉しいなんて不思議な気分。



朝海に行って、夏葉がいる日は幸せいっぱいな1日。



逆にいない日にはそれだけで1日落ち込んじゃう。



あたしの1日は夏葉で決まるみたいだ。



今日は日曜日。



もし夏葉がいたらまた一緒にご飯食べれるなってウキウキしてそわそわ。



前までは、波の状態でポイントを決めていた。



けど最近は夏葉がいることを願って夏葉の家のそばの海に行くことが多い。



まあ夏葉もその日によってポイントを変えてるし、毎日海に入ってるわけでもないから、いないときも結構あるんだけど…。



昨日は会えなかったし。



どうせ崩れるのに髪の毛を軽く整えたりなんかもして…。



いるかなってドキドキしながら海へ。



早く来すぎたからかもしれないけどいない…。



がっかり…。



それに今日はあんまり波のコンディションも良くないし…。



だからいないのかも。



ポイント変えよう。



早々に海を上がって、ボードを自転車に積んだ。



出発~。



波の入りが良さそうな海岸に移動した。



駐輪場に自転車を下ろし、ボードを抱えて浜に降りる。



夏葉、いるかな…。



アウトサイド(※沖)に目を向ける。



うーん、よく見えないけどいないっぽい…?



落ち込む気持ちを引きずって海に向かって歩いた。



って、あれ? 岸辺でカメラの三脚と一緒に立ってる男の人がいる。



あれ、夏葉だ!



一気に心臓が飛び跳ねた。



やば、超うれしい…。



はやる心臓を抑えて近づいた。



「夏葉」



後ろから声をかける。



聞こえてないみたい…。
< 30 / 52 >

この作品をシェア

pagetop