海よりも深くて波よりも透明

2人のリーシュコード

~夏葉~

長く続いた俺とリアムの旅も、そろそろ終盤を迎えつつある。



俺もこの数か月で随分と成長したと思う。



俺の名前も業界で知れ渡るようになってきて。



最近は行く先々で俺のことを知ってもらえているのを感じる。



本当に頑張って良かった…。



穂風には寂しい思いもさせたけど。



こうやって送り出してくれたおかげで今の俺がある。



穂風には感謝しかない…。



穂風の復帰写真で一躍有名にはなったわけだけど。



そのあとこうして頑張ってきたから、一発屋で終わらずに済んだんだと思う。



愛姫と悠星は、再会したあと、2人で話し合って、拠点を決めずに一緒にいることを決めたらしい。



結婚も視野に入れながら、日本とカリフォルニアを行き来して2人で暮らすみたいだ。



そして俺も、日本に帰ったら考えていることがある。



まだ穂風には言わないが…。



穂風は大学生活もサーフィン生活も充実しているみたいだ。



電話するとたまに聞く野本ってやつの存在にはモヤったりもするが…。



俺もガキ相手に情けない…。



でも無理なもんは無理だし。



今日も空いた時間で穂風と電話。



≪夏葉が帰ってくる日が近づいたら、前よりも一日一日が長く感じるようになった!≫

「ははっ、そうだな」

≪早く帰ってきてほしいよ~…≫

「待たせてごめんな」

≪夏葉が頑張ってるからいいよ!≫



素直なやつだ。



そんな今日は、早めに撮影が終わったので、リアムとイギリスの街に繰り出してみた。



ヨーロッパはとにかく街の風景が綺麗だ。



俺は愛用のカメラで街の風景をカメラに収める。



リアムと一緒にパブに入った。



簡単にフィッシュアンドチップスなどを頼む。



「(でもお前、本当に腕上がったよな)」

「(まじ?)」

「(まじまじ。俺様のおかげ?)」

「(まあぶっちゃけそう…。リアムには感謝してます…)」
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