海よりも深くて波よりも透明
リアムは陽気に笑いながら酒を飲む。



クズだけど本当についてきて良かったと思えるからこの人はすげえ。



「(周ってきてどのポイント(※サーフポイント)が良かった?)」

「(うーん…どこもすげえ良かったけど…やっぱノースショアが一番だな)」

「(確かに。タツオミも最高だったな)」



龍臣さんは本当に最高のサーフだった。



レジェンドなだけある。



彼女の親なんてこと忘れるくらいすごい。



「(お前、日本に戻ったらどうするんだ?)」

「(日本に戻っても、やっぱりちょくちょくこうやって海外には出ていきてえな)」

「(穂風はどうするんだ?)」

「(穂風も日本で収まる器じゃないっしょ。今は大学があるから日本にいるけど、卒業したら日本に留まることはしないはず)」



だからこそ、俺はそんな穂風とずっと一緒にいたいと思ってる。



穂風も多分そう思ってくれてると思う。



2人でデカくなっていきたいというのが今のところ俺が考えてること。



世界で最高の2人になりてえ。



「(ビッグカップルだな)」

「(そう思われるように、俺ももっと頑張っていきたい)」

「(ストイックだな~)」

「(まああんたよりは色々考えてるかもな…)」



リアムは楽しそうにケラケラ笑ってる。



それからしばらく飲んでたら、リアムが急に「(あの子たちカワイイ)」と言い出して、遊んでそうな2人組のイギリス人のところに酒を持って行ってしまった。



あの人は本当ああだよな…。



楽しそうに3人で飲んでやがる…。



と思ったら、その2人を連れて俺のところに戻ってきた。



「(今から4人でお前ん家で飲みなおそうぜ)」

「(アホか!)」



んなことしたら穂風がまた怒るだろ!



学ばねえな…。



「(いいじゃん。夏葉のことかっこいいってよ)」

「(まじで関わらないでくれ…。女絡みのことはまじ勘弁)」

「(相変わらずかてえなー。じゃあいいわ、3人で仲良くやっちゃうもんな)」



そう言って2人の肩を抱いて会計してから店を出て行った。



ったく…。
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