海よりも深くて波よりも透明

海よりも深くて波よりも透明

~夏葉~

それから4年後。



穂風は27歳、俺は31歳になった。



そしてなんと…。



「まじで!?」

「そうだよ~ん。俺たち、結婚しまーす」



郁とリアルが突然俺たちの家にやってきて、なぜか結婚を報告してきた。



付き合ってなかったよな…?



つーかその前に、恋愛感情とかもないって言ってたはず…。



「人生のパートナーとしてな。恋愛結婚じゃない結婚もあんだよ」



まじか…。



まじか…!



結構な衝撃だ…。



隣の穂風もなかなか驚いている。



「というわけで証人欄、書いてね」



そう言われて、穂風と一緒にとりあえず名前を書いた。



「じゃ、結婚式するから来てね。スピーチとかもよろしく」

「結婚式まで…」

「まあせっかくだし」



どんな気持ちで参列すれば…?



まあ…そういうこともあるのか。



無理に納得した。



別におかしなことでもないか…。



そして結婚式当日。



「夏葉、ネクタイしてあげる」



穂風がそう言って俺にネクタイを結んでくれる。



なんか手馴れてんな…。



誰かにしたことあんのか…?



急にモヤつく俺。



「誰にやってた? カイ?」

「いや…パパだよ…。カイなわけないじゃん…」



カイなわけねえか…。



バカだな…。



穂風のパーティードレスのチャックも上にあげてやって、結婚式に向かった。



「本日 私たちは 皆さまの前で 結婚の誓いをいたします」



リアルと郁が声をそろえて言う。



やっぱり不思議な気分だ。
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