海よりも深くて波よりも透明
次の日は月曜日。



今日も学校の前に朝早くから海へ。



うーん…今日はいないみたいだ。



がっかりした気持ちを抱えて学校。



「穂風、はよ~」



学校の手前を歩いていたら、後ろから声をかけられた。



この声は、同じクラスのギャルで親友の生出(いくで) リアル。



あたしはリアって呼んでる。



あたし達の高校は、県内の公立高校で1、2を争う進学校。



リアは、その中では珍しいギャルだ。



金髪で名前もカタカナだけど、顔も国籍も日本人。



だけどリアの最高なところは、学年で一番頭がいいっていうところ。



ちなみに二番目はあたしだ。



学年トップ2の学力を持つあたし達は多分校内ではちょっと有名なんじゃないかな…。



金髪ギャルと、肌も髪もいつでも焼けてるあたしの2人がいつも一緒にいるわけだし。



それにリアは、ぱっと見ただのギャルだけど、髪の毛の金色も顔つきも、知性と品がある。



あたしはそんなリアが大好きだ。



「ていうかあと5分でホームルームじゃね!?」

「まじ? やばっ」



リアと2人でダッシュ。



あたしもリアも毎朝ギリギリの時間。



バタバタと校舎内に走りながら入って、階段を上っていたらチャイムが鳴り始めた。



やばい!!



あたし達の教室は3階。



全力で階段を駆け上がり、教室に駆け込んだ瞬間にチャイムが鳴りやんだ。



「セーフ」



弾む息を整える。



体力のあるあたしはそのくらいで済んでいる一方で、リアの方はゼーハー言ってる。



おつかれ、リア…。



教壇に立つ担任の先生を見ると呆れ顔。



「もうちょっと余裕持って来なさい」

「無理で~す」



あたしとリアは口をそろえる。
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