海よりも深くて波よりも透明
「一分一秒でも長く海に入ってたいもん」

「間に合えばOKだから自分の時間有効に使ってるだけだもん」



学校のルールは守ってるし勉強もちゃんとしてるから文句言われる筋合いないもんね。



先生もわかってるからそれ以上何も言わなかった。



はあ…。夏葉に会いたい…。



頭の中を夏葉に支配されてる気分。



連絡したいな…。



口実が何も思いつかない…。



ホームルームが終わって夏葉の連絡先とにらめっこしてた。



「何見てんのぉ~?」



後ろの席のリアがのぞき込んでくる。



「あ、出た。夏葉」

「急にのぞき込むな~!」



リアにはこの前、初めて人を好きになったと伝えた。



リアはあたしの恋に興味津々らしい。



「ねえ、アタシ夏葉に会ってみたいんだけど!」

「はあ?」

「穂風を虜にした男がどんなもんなのかあたしが見定めてあげるし~」



さすがは恋愛マスターのリアル様…。



そんなリアは恋愛経験皆無だ。



かなりモテるけどね。



人を好きになったこともないし、これからも多分ならないんだって。



恋への憧れも全くないらしい。



でもめちゃくちゃ恋愛マスター。



リアは頭もいいし教養もあるから、恋愛だけじゃなくて色んなことに対して鋭いんだ。



お悩み相談室開けると思うし、開いたらかなり繁盛すると思う。



なんてリアの話は置いておいて…。



「ね~、会わせてよ~」



しつこ…。



でも、ここでふと気づいた。



これ口実に連絡取れるし会える!



リアに笑顔を向けた。



「ありがと、リア」



夏葉とのトーク画面を開く。



『友達が夏葉に会ってみたいって言うんだけど、土曜日海来る?』



そう入力して、送信。
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