海よりも深くて波よりも透明
「海でいいよね?」



リアルに聞く。



「え~、寒くね?」

「砂浜で遊ぼ」

「まあいっか」



やった。



早く返事来ないかな。



スマホを机のわきに置いて授業を受ける。



5秒に1回くらいのペースで通知を確認してる気がする…。



スマホをちらちら見つつ3限の数学の授業を受けてたら、後ろの席から丸まった紙が飛んできた。



広げてみると、『スマホ見すぎ』と書いてある。



うるさいな…。



無視してまたスマホを確認。



なんかもう無意識にやってる。



練習問題を解いていたら、スマホの画面が光った。



光の速さでスマホを確認するあたし。



画面には、『夏葉』の文字。



うっ、確認したい…。



スマホを取って机の下で開く。



『多分行く』



一言だけ…。



もうちょっと会話したいんだけどしていいかな…。



わかんない!!



今解いてる数学の問題の100倍は難しい。



『お弁当作ってきたら食べる?』



そう入力して送信した瞬間、「岩崎!」と呼ばれた。



「はい!」

「スマホいじるとはいい度胸だな?」

「問題はばっちり解けてるよ」

「そういう話じゃないわ!」



だって気になるじゃん…。



「前に出て答え書きなさい」

「は~い」



こんな問題すぐ解いちゃったもんね…。



公式当てはめるだけじゃん。



ささっと書いてすぐ席に戻った。
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