海よりも深くて波よりも透明
って…。
陽の落ちかけた海岸で、ひときわ目立つ、光を纏った若い女2人。
穂風とリアルが手持ち花火で走り回ってる。
あいつらまだいたのか。
あまりにも良い絵で、俺はシャッターを切った。
それから、海岸に降りて2人に近づく。
「おい」
「夏葉!」
穂風が、驚きと喜びが入り混じったような顔で俺を見た。
「来てくれたんだ」
「仕事の気分転換に来たらお前らまだいたから。楽しそうだな」
「へへ、春の海で花火、最高でしょ」
そう言う穂風の顔は輝いてる。
絵になる…。
それからしばらく、花火する2人を撮っていた。
我ながらすげえ良い写真。
残りは線香花火だけになった。
いいっていう俺に、穂風が線香花火を押し付ける。
「線香花火は勝負しなきゃ面白くなーい」
「わかったよ…」
「じゃあ火つけるね」
3本の線香花火がはじけた。
一生懸命に生きようと、オレンジの光が弾んでる。
穂風の顔を無意識に眺めた。
光が穂風の顔に反射する。
ワクワクしたような、それでいてどこか切なげで危うげな、少し神秘的とも言える表情。
めちゃくちゃ綺麗だ…。
吸い込まれるように、勝負も忘れて、左手で花火を持ちながら右手でカメラを構えた。
シャッターを切った瞬間、穂風がこっちを見た。
と同時に、穂風が「あーっ!」と叫んですぐに俺から手元に視線を移した。
「花火落ちた…」
確かに、一瞬だけ地面で光を放って散った線香花火の火花。
無残にも穂風の線香花火の先はなくなってる。
「夏葉のもないし…」
穂風に言われ、自分の手元を見ると、確かにいつの間にか落ちている。
カメラを構えた時だろうか。
全く気付かなかった。
陽の落ちかけた海岸で、ひときわ目立つ、光を纏った若い女2人。
穂風とリアルが手持ち花火で走り回ってる。
あいつらまだいたのか。
あまりにも良い絵で、俺はシャッターを切った。
それから、海岸に降りて2人に近づく。
「おい」
「夏葉!」
穂風が、驚きと喜びが入り混じったような顔で俺を見た。
「来てくれたんだ」
「仕事の気分転換に来たらお前らまだいたから。楽しそうだな」
「へへ、春の海で花火、最高でしょ」
そう言う穂風の顔は輝いてる。
絵になる…。
それからしばらく、花火する2人を撮っていた。
我ながらすげえ良い写真。
残りは線香花火だけになった。
いいっていう俺に、穂風が線香花火を押し付ける。
「線香花火は勝負しなきゃ面白くなーい」
「わかったよ…」
「じゃあ火つけるね」
3本の線香花火がはじけた。
一生懸命に生きようと、オレンジの光が弾んでる。
穂風の顔を無意識に眺めた。
光が穂風の顔に反射する。
ワクワクしたような、それでいてどこか切なげで危うげな、少し神秘的とも言える表情。
めちゃくちゃ綺麗だ…。
吸い込まれるように、勝負も忘れて、左手で花火を持ちながら右手でカメラを構えた。
シャッターを切った瞬間、穂風がこっちを見た。
と同時に、穂風が「あーっ!」と叫んですぐに俺から手元に視線を移した。
「花火落ちた…」
確かに、一瞬だけ地面で光を放って散った線香花火の火花。
無残にも穂風の線香花火の先はなくなってる。
「夏葉のもないし…」
穂風に言われ、自分の手元を見ると、確かにいつの間にか落ちている。
カメラを構えた時だろうか。
全く気付かなかった。