海よりも深くて波よりも透明

波待ち

~夏葉~

あっぶね…。



穂風に上目遣いで見つめられ、危うくキスしそうになった俺。



あれはやばかった…。



ギリ耐えたのがすげえよ。



高校生とは思えないくらい俺の心を捉えまくる穂風。



このままだとまじでヤバイ。



いっそのこと別の女と付き合ってみるか!?



…んな気も起きねえな。



そして今日も海に行くと穂風がいるわけで。



なんか気まずい…。



俺が勝手に気まずさ感じてるだけだけど。



穂風はいつも通りだ。



若干いつもよりも好意を感じる気も…。



って、俺きもいわ…。



自分の中で感情をコントロールできず、次の日から若干ポイント(※サーフポイント)を変えた。



情けねえな…。



そんな俺、土曜日の今日は仕事がないので静岡まで車を走らせた。



波が良いってのもあるけど、穂風から逃げるように。



なのに――



「夏葉!?」



なんでこうなる…。



駐車場から浜辺に降りた瞬間声をかけられて振り向くと、久しぶりに見る穂風がいた。



あと、その隣には、川村そよ子…。



オーラ半端ねえ…。



って、いやいやいや…。



そしてなぜか今、穂風と川村そよ子…さんと一緒に定食屋にいる俺。



この状況はなんだ?



「穂風から話は聞いたことあったけど、あんたが夏葉ね~」



そよ子さんが頬杖をついて俺をジロジロと見る。



「イケメンじゃん」

「どうも…」

「良い写真撮るんだって?」

「まだまだっす…」



唐揚げ定食が喉を通らない。



穂風は美味(うま)そうに焼き肉定食を食ってる。
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