海よりも深くて波よりも透明
電車に揺られる帰り道。



つーか学生多いわ。



今日月曜か…。



無意識に穂風を探そうとする自分に気づいて頭を振った。



でもそこで声をかけられた。



「夏葉じゃ~ん?」



顔を上げると、制服を着たリアルだった。



座ってる俺の前に立ってる。



「偶然~」

「お~…」

「穂風に返事も返さないで朝帰り?」

「…」

「穂風が既読つかないって泣いてたんだけど」



なんでんなことリアルに言うんだよ…。



「あたしさー、夏葉にちょっと怒ってんだよね~」

「は?」

「夏葉、本当は穂風の気持ち気づいてるっしょ?」

「…」



俺の隣の席が空き、そこに座るリアル。



「んで、夏葉も穂風好きじゃん?」

「おい…」

「この前の穂風に対する誠実さとかの話だけどさ」



リアルは俺を無視して勝手に話を進める。



「あたし20歳以上年上に真剣に口説かれたことあんのね」



話し出したリアル。



「18歳未満との淫行は犯罪だよって言ったら、愛してるし法的には全く問題ないって言われてさぁー」

「30代後半のおっさんが女子高生にそれはやべえだろ…」

「そう思うっしょ? 未成年との恋愛をそんな軽々しく捉えて口説くのって誠実さのかけらもないよねー」

「だな」

「それに、そうやって法律の理屈をぶつけてくることこそ、未成年の若さと未熟さにつけこんでて淫行じゃん」



リアルがそう言ってから、真剣な顔で俺を見た。

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