海よりも深くて波よりも透明
「はい、自分なりに覚悟決めたつもりです」

「覚悟って?」

「軽率なことをして傷つけたりしないつもりです。自分のすること全てに、責任持ちます」

「言うだけなら簡単だけどね」

「普段の娘さんの様子で判断していただければと思います」

「まあ頑張りな。個人的には夏葉のこと好きだし」

「ありがとうございます」



パパはじっと夏葉のこと見てるし…。



なんなのこの空間…。



「つーかお前か。良い写真撮るってやつ…」

「あ、なんかすみません…」



みんな居心地悪いじゃん!!



ママが冷蔵庫からケーキを出す。



「これ食べる?」

「あ、いえ、お構いなく…」

「美味しいのに」



もうだめだ。



これ以上夏葉をここに置いておけない。



「みんなストーーップ!!」



あたしが大声を出した。



みんなが一斉にあたしの方を見る。



「解散!今日はここまで!ありがとうございました!」



そう言って、夏葉の背中を玄関まで押し出した。



「今日はありがとね!また明日!」

「おー…。あとで電話する」

「バイバイ!」



あたしが手を振ると、夏葉が去り際に「お邪魔しました!」とリビングに声をかけた。



リビングから「また来な…」とパパの声が聞こえた。



うーん、とりあえず良かったのかな?



あたしの付き合えたという喜びの気持ちの余韻は、見事に家族によってなくされてしまった。



とにかく、明日が楽しみ!



って、その前に夏葉から電話来るんだっけ。



やばいやばい…。



付き合うって、どういうことなんだろう。



これからどんなことが待ち受けてるのかな。



楽しみで楽しみで、心が大騒ぎ中だ。
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