海よりも深くて波よりも透明

テイクオフ

~夏葉~

俺の彼女、はっきり言ってまじで可愛い。



って、こんなこと言う自分にドン引き…。



今まで彼女に対してそんな風にわざわざ思ったことがなかった。



そりゃ、多少は可愛いって思うことも好きだって思うこともあったけど、こんな風に心の底からみたいなのは初めてで…。



俺、きもっ!



付き合ってから初めての土曜日に地方で軽めの大会があり、そこで一仕事終えた俺たち。



カメラを片付けていたら穂風が来た。



「夏葉~」



なんでそんな甘ったるい声で俺の名前呼ぶんだよ。



「今日の優勝者の岩崎さん」

「まあ当然の結果ですね」



はいはい。



穂風は興味深そうに俺の片付ける様子を見てる。



無意識に穂風を俺の方に引き寄せた。



そんな俺にびっくり…。



まじハマってんな…。



「っし、どっか行くか?」



片付けが終わって車に荷物を積んだ俺は穂風に聞く。



穂風はめちゃくちゃ嬉しそうな顔。



「デートだ!」



そう言って笑う。



可愛いじゃねえか。



「近くにね、レトロな雰囲気の商店街あるの」

「行くか」



先に歩き出す穂風の隣に並んで、手を取った。



一瞬びっくりした顔をした穂風は、すぐに笑顔。



そんな穂風の鼻をつまんだ。



「んー!」

「可愛い顔してっとキスするぞ」

「していいよ」



んなこと言うとまじですっからな。



周りには誰もいない。



穂風の顔をこっちに向けて一瞬唇を重ねた。
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