海よりも深くて波よりも透明
「…本当にするんだ」

「有言実行だからな」



俺は満足です。



歩いて10分くらいのところにある商店街。



住宅街を抜けると雰囲気の良い商店街が見えてきた。



「ね、しらすアイスだって」

「食うか?」

「食うー!」



しらすアイスなる物を穂風に買ってやると喜んだ。



紙コップに入ってるアイスをスプーンですくってちまちま食ってる。



アイスを食ってる穂風を見てたら、穂風がこっちを見た。



「夏葉も食べる?」

「ん」



穂風がアイスをスプーンに乗せて手を伸ばして俺にくれる。



口の中に潮の味が広がる。



「うまいな」

「うまいでしょ」

「もう一口」



そう言って、自分の口に運ぼうとした穂風の手を自分の口に持っていく。



穂風は不服そうだ。



「あたしのなのに~」

「ははっ」



穂風の頭を片手でぐしゃっと撫でた。



穂風のアイスがなくなったころに、雰囲気の良い陶器屋。



「寄ってい?」

「あたしアイスのカップ持ってるし外で待ってるよ。汚したらやばいし」

「貸せ」



空の紙コップを穂風から取り上げて中のアイスの残った液体がこぼれないよう、小さく折りたたんで自分のポケットにしまった。



「お~、頼もしい」

「ほら、入るぞ~」

「はーい」



中は、茶碗や湯飲み、小皿に大皿など色々な焼き物。



渋くて良い感じだ。



かなり好み。



穂風も新鮮そうな顔で店内を見てる。



「ね、なんかあたしにも選んで」



しょうがねえな。
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