海よりも深くて波よりも透明
でも、なんか気持ちいいかも…。



どう受け入れればいいのかわからなくて、それでも夢中になってキスを続けた。



ちょっとして、ゆっくりと顔を離した。



脳みそがとろとろに溶けそうだ。



夏葉がにやっと笑ってあたしの頭にぽんと手を乗せた。



「お前、最高」



なにが…?



なんだか胸いっぱいで、キスしている間をほとんど覚えてない。



「顔、エロいぞ」

「はい!?」



顔がエロいって…。



どんな顔…?



夏葉があたしの頬をなでた。



その愛おしそうな目に、苦しいくらい胸が締め付けられる。



大好き…。



1時間くらいそこで夏葉と過ごしてから、パーティーが終わる時間になってみんなの所に戻った。



二次会もあるらしいけど、未成年なのでパス。



本当はもっと夏葉と一緒にいたいけど、門限の時間に近いので泣く泣く親の車で帰った。



「夏葉、またね」

「ん」



窓から夏葉に手を振る。



夏葉は、パパとママにぺこっとお辞儀。



車が動き出して、窓から見える夏葉がどんどん後ろに流れていく。



さみしいな…。



もう会いたい。



あんなキス覚えちゃったら、あたしはもう夏葉から絶対に離れられないよ。



やっぱ調教されてる…。



車の後部座席で目を閉じながら、さっきのキスが反芻される。



その日、何度もあのキスが思い出されて、あたしはなかなか寝付けなかった。
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