海よりも深くて波よりも透明
「あんた誕生日いつ?」

「10月っすけど…」

「じゃあ早めの誕生日祝いってことで」

「まじいいんすか…?」



夏葉が押し負けた。



恐縮してる夏葉は、それでも嬉しそうだ。



良かったね、夏葉。



可愛いな~。



夏葉ってかっこいいタイプの人だから、あたしみたいに可愛いって思うのは少数派じゃないかな。



それだけ好きってことだ。



ちょっと前まで恋なんて知らなかったのに。



それからママに良いレストランに連れて行ってもらって3人で夜ご飯を食べてからママと別れた。



「タツによろしく~」



車に乗るあたし達にママが窓越しに言う。



「はいはい」

「じゃーね」



夏葉がママに軽くお辞儀をして、車が出発した。



静かな車内。



いつもと車が違うからなんか変な感じ。



「今日…ごめんね」

「あ?」

「泣いちゃって。ありがと…」



夏葉が運転しながらあたしの頬を軽くつまんだ。



「可愛かったけどな」

「ブサイクって言ったじゃん…」

「んなこと言ったか?」

「言ったよ…」



夏葉は「ははっ」と笑った。



こんな風にナチュラルに受け止めてくれる夏葉が大好き…。



夜のハワイの街を走り、夜風に吹かれながら夜が更けていった。



そして、一週間の合宿も無事終了。



10月の世界大会頑張るぞ~!
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