薬師見習いの恋
プロローグ
森の緑はすすけた色合いに変わり、紅葉している木もちらほらと見える。空気は澄んで心地よく、空は爽快に晴れていた。
木漏れ日に照らされながら、マリーベル・フェスタは下生えが茂る中にしゃがみ込んで草を引っこ抜く。
ただの草ではない。薬として使えるものを選んで摘み取っているのだ。
横にあるかごにはすでにイチイやナツメ、イヌバラの赤い実が入っている。そこへ今摘み取ったタンポポを入れた。
「けっこう採れたかな」
皮手袋を脱いで額の汗を拭い、マリーベルは呟く。
今日は秋にしては暑い気がする。
夏まではハーブがよく採れるが、秋には枯れ始める。今のうちにたくさん採って冬に備えたいところだった。
「銀蓮草は今日も見つけられないけど」
こぼれた呟きは風に消える。
見渡す森は夏よりも彩りが豊かだ。茶色の幹から伸びる枝に茂る緑、赤や黄色の葉、実った果実が季節の移り変わりを感じさせる。だが銀色の花弁を付けた草などまったく見当たらない。
ガサッと音がして、マリーベルははっとそちらを見る。
木漏れ日に照らされながら、マリーベル・フェスタは下生えが茂る中にしゃがみ込んで草を引っこ抜く。
ただの草ではない。薬として使えるものを選んで摘み取っているのだ。
横にあるかごにはすでにイチイやナツメ、イヌバラの赤い実が入っている。そこへ今摘み取ったタンポポを入れた。
「けっこう採れたかな」
皮手袋を脱いで額の汗を拭い、マリーベルは呟く。
今日は秋にしては暑い気がする。
夏まではハーブがよく採れるが、秋には枯れ始める。今のうちにたくさん採って冬に備えたいところだった。
「銀蓮草は今日も見つけられないけど」
こぼれた呟きは風に消える。
見渡す森は夏よりも彩りが豊かだ。茶色の幹から伸びる枝に茂る緑、赤や黄色の葉、実った果実が季節の移り変わりを感じさせる。だが銀色の花弁を付けた草などまったく見当たらない。
ガサッと音がして、マリーベルははっとそちらを見る。
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