薬師見習いの恋
ロニーの本名はロナルシオ・レンタード・エルシュネル。レミュールで生まれ育った伯爵家の三男だ。
三男だから家督を継ぐ予定はなく、人の役に立ちたくて薬師の道を目指した。
順調に薬師になり、医師と協力して病人やけが人の治療に当たってきた。
二年前、エルベラータからロニーに打診があった。
新しく薬学院を作りたいから、講師として来てくれないか、と。
彼の優秀さはエルベラータの耳にも届き、彼女は自身が設立する予定の薬学院の講師として彼に白羽の矢を立てたのだ。
ロニーは迷った。現場で人々を助けたい気持ちもあるし、若輩の自分が先輩を差し置いて教壇に立つことにも迷いがあった。だが、後進の育成ができればもっとたくさんの人を救えるのではないかとも思えてすぐには決断できずにいた。
そんな頃にエンギア熱が流行し、レミュールは混乱に陥った。
国王が指揮をとり、病気の対策をおこなった。エルベラータも対策に奔走し、薬学院の設立は棚上げとなった。
他国で行われた対策を取り入れ、王都閉鎖の上に外出禁止という大胆な策に打って出た。
王都の人々はさらに混乱した。
兵士が厳重に警戒し、物資を配給し、不安を和らげるべく対処をおこなう。それでも民衆の不安や恐怖はやがて怒りとなり、暴動が起きることもあった。
その間もロニーたちは病気と必死に戦った。
医療関係者もどんどん罹患して病に倒れる。
どれだけ力を尽くそうとも病魔は嘲笑うように人々を襲い、ロニーは命の火が消えるのを止められなかった。
特効薬はなく、効果的であった銀連草と月露草は希少でその値は高い。貴族の一部が独占し、さらに高騰して庶民にはまったく手の出ない金額になった。
三男だから家督を継ぐ予定はなく、人の役に立ちたくて薬師の道を目指した。
順調に薬師になり、医師と協力して病人やけが人の治療に当たってきた。
二年前、エルベラータからロニーに打診があった。
新しく薬学院を作りたいから、講師として来てくれないか、と。
彼の優秀さはエルベラータの耳にも届き、彼女は自身が設立する予定の薬学院の講師として彼に白羽の矢を立てたのだ。
ロニーは迷った。現場で人々を助けたい気持ちもあるし、若輩の自分が先輩を差し置いて教壇に立つことにも迷いがあった。だが、後進の育成ができればもっとたくさんの人を救えるのではないかとも思えてすぐには決断できずにいた。
そんな頃にエンギア熱が流行し、レミュールは混乱に陥った。
国王が指揮をとり、病気の対策をおこなった。エルベラータも対策に奔走し、薬学院の設立は棚上げとなった。
他国で行われた対策を取り入れ、王都閉鎖の上に外出禁止という大胆な策に打って出た。
王都の人々はさらに混乱した。
兵士が厳重に警戒し、物資を配給し、不安を和らげるべく対処をおこなう。それでも民衆の不安や恐怖はやがて怒りとなり、暴動が起きることもあった。
その間もロニーたちは病気と必死に戦った。
医療関係者もどんどん罹患して病に倒れる。
どれだけ力を尽くそうとも病魔は嘲笑うように人々を襲い、ロニーは命の火が消えるのを止められなかった。
特効薬はなく、効果的であった銀連草と月露草は希少でその値は高い。貴族の一部が独占し、さらに高騰して庶民にはまったく手の出ない金額になった。