薬師見習いの恋
「そういうわけじゃなくて、あんまりにも思いがけなかったから……」
「だったら、これを言うとあなたを困らせてしまいますね」
意味ありげな彼の言葉に、マリーベルはごくりと唾を飲んだ。
「私はあなたと結婚したいと思っています」
マリーベルは言葉を失った。頭の中をいろんなことがぐるぐると周り、それでひとつの単語がひっかかり、口にする。
「み、身分が……」
「身分など関係ありません。貴族と平民が結婚した事例など山ほどありますよ」
「そうなの? だけど……」
好きと言われただけでも信じられないのに、さらにその先のことを言われて戸惑わない方がおかしいと思う。
ずっと、かなわない恋だと思っていた。
なのに、ロニーのから告白してくれた上に結婚なんて。
「あなたさえ良ければ今日にでもご両親に結婚の許可をもらいに行きたいと思っています。あなたを誰にも渡したくないから」
マリーベルは赤くなった顔をさらに赤くしてうつむく。
「いい……です」
マリーベルの言葉に、ふふ、とロニーの笑いがこぼれる。
「マリー、抱きしめても?」
問われて、マリーベルは黙って頷く。
「ありがとう、マリー。大切にします」
ロニーはそっとマリーベルを腕に抱きしめる。
マリーベルが頭をもたせかけると、その腕は力強くマリーベルを包み込んだ。
木漏れ日が降りそそぐ静かな森の中、咲き乱れる月露草に見守られながらふたりはいつまでも抱きしめ合っていた。
「だったら、これを言うとあなたを困らせてしまいますね」
意味ありげな彼の言葉に、マリーベルはごくりと唾を飲んだ。
「私はあなたと結婚したいと思っています」
マリーベルは言葉を失った。頭の中をいろんなことがぐるぐると周り、それでひとつの単語がひっかかり、口にする。
「み、身分が……」
「身分など関係ありません。貴族と平民が結婚した事例など山ほどありますよ」
「そうなの? だけど……」
好きと言われただけでも信じられないのに、さらにその先のことを言われて戸惑わない方がおかしいと思う。
ずっと、かなわない恋だと思っていた。
なのに、ロニーのから告白してくれた上に結婚なんて。
「あなたさえ良ければ今日にでもご両親に結婚の許可をもらいに行きたいと思っています。あなたを誰にも渡したくないから」
マリーベルは赤くなった顔をさらに赤くしてうつむく。
「いい……です」
マリーベルの言葉に、ふふ、とロニーの笑いがこぼれる。
「マリー、抱きしめても?」
問われて、マリーベルは黙って頷く。
「ありがとう、マリー。大切にします」
ロニーはそっとマリーベルを腕に抱きしめる。
マリーベルが頭をもたせかけると、その腕は力強くマリーベルを包み込んだ。
木漏れ日が降りそそぐ静かな森の中、咲き乱れる月露草に見守られながらふたりはいつまでも抱きしめ合っていた。