薬師見習いの恋
「今日はマリーの好きなシチューにするわね。アシュトン様から兎のお肉をわけてもらえたの」
「ありがとう」
答えるマリーベルの声は暗かった。
「ロニーのところに旅の人が訪ねて来たんだって? どんな方だったの?」
「どんなって……きれいな女の人と、男の人がふたり」
「どういうご用事だったの?」
「知らない」
そっけなく答えると、レターナは困ったように首をかしげた。
「さっき、アシュトン様が来たときにね」
「うん」
マリーベルは顔を上げずに生返事を返す。
「マリーを薬の勉強のためにレミュールへやらないか、って」
マリーベルは驚いてレターナを見た。
「すごい話じゃないか。お前にはもう言ってあるって聞いたよ。学費も滞在費もルスティカ様がもってくれるって。もちろん行くわよね?」
「行かない」
思わずそう答えていた。
「どうしてよ」
「だって……」
言い淀むマリーベルに、レターナは腰に手を当てて息をついた。
「こんなありがたい話を断るなんてもったいない。もっとよく考えるのよ。水汲みをしてきてくれる?」
「はい」
マリーベルは頷いて、桶を持って家を出た。
「ありがとう」
答えるマリーベルの声は暗かった。
「ロニーのところに旅の人が訪ねて来たんだって? どんな方だったの?」
「どんなって……きれいな女の人と、男の人がふたり」
「どういうご用事だったの?」
「知らない」
そっけなく答えると、レターナは困ったように首をかしげた。
「さっき、アシュトン様が来たときにね」
「うん」
マリーベルは顔を上げずに生返事を返す。
「マリーを薬の勉強のためにレミュールへやらないか、って」
マリーベルは驚いてレターナを見た。
「すごい話じゃないか。お前にはもう言ってあるって聞いたよ。学費も滞在費もルスティカ様がもってくれるって。もちろん行くわよね?」
「行かない」
思わずそう答えていた。
「どうしてよ」
「だって……」
言い淀むマリーベルに、レターナは腰に手を当てて息をついた。
「こんなありがたい話を断るなんてもったいない。もっとよく考えるのよ。水汲みをしてきてくれる?」
「はい」
マリーベルは頷いて、桶を持って家を出た。